三浦春馬氏の自殺偽装に文春と警察とアミューズが関与した可能性
この記事では、三浦春馬氏の遺書として扱われたノートに着目することにより、週刊文春と警察とアミューズが自殺偽装に加担した可能性を指摘する。その目的は、犯罪死の見逃しを防止するためである。なお、過去の記事を再編集した箇所が含まれます。
それから、「警察が自殺偽装に関与した可能性」の項以降には、警視庁による証拠隠滅罪(刑法104条)および組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等(組織的犯罪処罰法7条)の疑いに対する告発を含んでいます。
社会的要請「犯罪死の見逃し防止」が推進される中での異常事案
三浦春馬氏の死の2週間後にはじまった死因究明等推進会議は、芸能人連続不審死にたったの一言さえ触れることなく進行した。また、芦名星氏ケース以降、後追い自殺防止を盾にして、本当に自殺だったのかどうかを推し量る情報は、ほぼ完全に秘匿された。
こうして、警察が情報を秘匿するなら、まともな死因究明が為されたかどうかを民主的にチェックできなくなることが露呈した。同時に、警察庁が策定した「警察における死因究明等の推進」といった研究や報告施策に示された施策は、いっさい可視化されないことも明らかとなった。
三浦氏の死亡報道は、芦名星氏以降のケースより情報が多い。そこで、三浦氏のケースから、首吊り程度の情報で自殺として処理され、科学的な死因究明どころか、基本的な状況を示す情報さえ秘匿されていることの異常さを指摘したい。
タブーの四面楚歌
三浦春馬氏については、犯罪死の見逃しが疑われる典型的なケースであるにもかかわらず、警察、マスメディア、そしてアミューズのそれぞれが他殺疑惑に触れようとさえしないことが、自殺に納得できないファンらを苦しめている。
三浦氏に限らず、一連の不審死は、タブーの四面楚歌(桜タブー、メディアタブー、記者クラブタブー、芸能プロダクションタブー)の中の事案である。タブーであるがゆえ、真相究明を求める声は黙殺されるばかりだ。
そこでまず、三浦氏の死亡速報の3点セット「首吊り」「遺書(のようなもの)」「自殺か」のうち、自殺を印象づけた 「遺書(のようなもの )」 について、報道内容を詳細に検証することにより、週刊文春と警察とアミューズが自殺偽装に関与した可能性を明らかとしたい。
週刊文春による自殺の刷り込み記事
誰もが「先立つ不孝をお許しください」という文面を思い浮かべるとおり、遺書とは、遺族への別れを以って、自ら死することを宣言する書である。それが一般に認知されている “遺書の体裁” だ。
三浦氏のケースについては、四十九日まで『遺書』として報道された日記の内容を、週刊文春が8月6日号と8月13・20日夏の特大号で明らかにした。
根拠の希薄な伝聞だけで遺書であることを強調
週刊文春は、「(三浦氏と)親しい関係にあった知人」の「(日記は)遺書というべき内容です」という言葉を導入に使っただけで、日記を「遺書」として断定的に扱っている。 しかしながら、8月6日号の「(日記は)遺書というべき内容です」 という言葉以外に、8月13・20日夏の特大号を含めても、日記を遺書とみなす理由は存在しない。
存在が疑われる匿名の第三者
そして、月刊『創』編集長の篠田博之氏も指摘するように、日記の内容は、「伝聞」にしては具体的すぎる。知人の言葉(「伝聞」)の中にさらに〈カギ括弧〉つきで紹介される文は、まるで『遺書』とされた日記そのものを見ながら語られているかのように明確なのである。
「(三浦氏と)親しい関係にあった知人」の存在をさらに疑えば、記事で紹介される〈日記の内容〉は赤裸々だ。人に見せることを前提として書かれた文章には見えない。
僕の人間性を全否定するような出来事があり、たちまち鬱状態に陥り、自暴自棄になった。当時は鬱状態から抜けられなかった。どう死のうかと考えていた。
週刊文春8月13・20日号
自身の弱さをさらけ出した文章を、はたして「親しい関係にあった知人」程度の人に見せるだろうか。
明らかなこじつけ
さらに言えば、8月6日号の記事タイトル「僕の人間性を全否定」は、夏の特大号で「約2年前の出来事」とされている。太陽の子を演じた際に書かれたものとは言え、2年前の回想を「(日記は)遺書というべき内容です」とするのは、明らかに無理がある。
週刊文春は、”取材源の秘匿” を持ち出すことができるので、「(三浦氏と)親しい関係にあった知人」が誰なのか?それを明示する必要に迫られることはない。そうした報道機関の特権(秘匿権)の上で、文春は、知人の言葉「(日記は)遺書というべき内容です」を全面的に利用した。その記事構成は、『日記=遺書』として扱う責任を、知人の責任に転嫁しているようにも見える。
書き手の意図はさておき、週刊文春の特集記事は、希薄な根拠(匿名の第三者の伝聞)だけで、三浦春馬氏が自殺したことを繰り返し強調し、そして読者に 『日記=遺書』 を刷り込むかのような技法で構成されていることに間違いはない。
誰が2年前の回想を遺書とみなすか?
アミューズが「遺書はなかった」と発表した後、改めて文春の記事を見直せば、誰もが「なんでこれが遺書なのよ!」と思うはず。 そこで発生する疑問は次のふたつ。
- なぜ週刊文春があんな刷り込み記事を書いたのか
- はたして役者ノートを警察が遺書とみなすか
1. なぜ週刊文春があんな刷り込み記事を書いたのか
この疑問に対する答えが明らかになることはないだろう。文春は、ネタ元が匿名の第三者の体裁を取り、かつ、”取材源の秘匿”を盾にできるので、その責任を追することが困難であるからだ。
2. はたして役作りノート(日記)を警察が遺書とみなすか
警察官が室内を捜索し、日記を発見し、それを読み進めて遺書と認定した、なんてことはあり得ない。自殺現場に到着した警察官は「自殺の動機に心当たりはありますか?」と聞き、アミューズのスタッフは「こんなものが…」と『遺書のようなもの 』を差し出した。こちらの推察の方がはるかに自然だろう。
ここで立ち止まって考えるべきことがある。警察官であろうがなかろうが、2年前の回想である「僕の人間性を全否定」が埋もれた日記を、はたして『遺書のようなもの』として認定するか?という疑念だ。 ここで、次に示す「遺書の有無に関する報道内容」を確認して欲しい。
配信日時 | 作成者 | 記事の主語 | 午前中の状況に関する報道内容 |
---|---|---|---|
7/18(土) 15:04 |
日テレニュース24 | 関係者によりますと、 | 18日午後1時頃、東京・港区の自宅で、俳優の三浦春馬さんが、首をつっているのが見つかり、搬送先の病院で、死亡が確認されました。自殺とみられています。 三浦さんは18日、仕事の予定でしたが、仕事場に現れず、関係者が自宅を訪れたところ、死亡しているのを発見したということです。 |
7/18(土) 15:37 |
NHK | 捜査関係者によりますと、 | 18日午後、東京・港区のマンションの1室で俳優の三浦春馬さん(30)が、首をつった状態で見つかり、搬送先の病院で死亡したということです。 三浦さんが仕事に来なかったことから、部屋に迎えに行った所属事務所のマネージャーが発見し、110番通報したということです。 |
7/18(土) 15:54 |
デイリースポーツ | 関係者への取材 | 三浦さんは17日までドラマ「おカネ-」の撮影に参加。この日朝から連絡がつかなくなっており、行方不明状態だった。このため、18日の撮影は中止となっていた |
7/18(土) 17:45 |
週刊新潮WEB取材班 | 警視庁関係者によると | 「18日午後、東京・港区のマンションの1室で、クローゼットの取っ手にヒモのようなものを結び、そこに首を引っかけた状態で亡くなっていたそうです。仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見。部屋の中からは遺書のようなものも見つかっていると聞いています」 |
7/18(土) 18:30 | デイリースポーツ | 不明 | 18日もロケの予定だったが、朝から連絡がつかず、スタッフらが心配していた。ロケは中止となっていた。 |
7/18(土) 18:47 | ANNニュース | 関係者によると、 | 三浦春馬さんは午後0時半ごろ、港区の自宅マンションで首を吊った状態で見つかった。三浦さんは意識不明のまま病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。現場からは遺書も見つかっていて状況などから自殺を図ったとみられている。 |
7/18(土) 19:34 | デイリースポーツ | 関係者への取材によると、 | 三浦さんは17日までドラマ「おカネ-」の撮影に参加。18日朝から連絡がつかなくなっており、18日のロケは急きょ中止となっていた。 |
7/18(土) 19:39 | 中日スポーツ | 捜査関係者によると、 | 三浦さんが仕事に来なかったためマネジャーが自宅を訪ね、クローゼットの中で首をつっている三浦さんを発見。室内から遺書とみられるものが見つかっており、警視庁が慎重に内容を確認している。 |
7/19(日) 5:00 | デイリースポーツ | 不明 | 三浦さんは18日朝から都内で撮影に参加予定だったが、現場に現れず、不審に思ったマネジャーが港区内の自宅マンションを訪れたという。 |
デイリースポーツ | 不明 | 三浦さんは18日朝から都内で撮影に参加予定だったが、現場に現れず、不審に思ったマネジャーが港区内の自宅マンションを訪れたという。 | |
7/19(日) 12:48 | 文春オンライン | 捜査関係者によると、 | (午前中の状況の記述はない) |
9月4日 | アミューズ | 午後から予定されていた仕事に向かうため、約束の時間に担当マネージャーが自宅へ迎えに行きましたが、メール・電話等に返事がなかったので、部屋へ向かいました。インターフォンを鳴らしましたが応答がなかったため、管理会社の方に連絡し、部屋の鍵を開けていただき入室したところ、すでに意識のない状態でした。応急手当をするとともに、すぐに警察と救急に連絡を入れ、病院に搬送されましたが、懸命な救命処置も及ばず14時10分に永眠いたしました。 |
配信日時 | 作成者 | 記事の主語 | 遺書の有無に関する報道内容 |
---|---|---|---|
7/18(土) 15:04 |
日テレニュース24 | 遺書の有無には触れていないが、タイトルは「速報:俳優の三浦春馬さんが死亡 自殺か」 | |
7/18(土) 15:37 |
NHK | 捜査関係者によりますと、 | 室内からは遺書のようなものが見つかっているということで、警視庁は現場の状況などから自殺を図ったものとみて詳しい状況を調べています。 |
7/18(土) 15:54 |
デイリースポーツ | 警視庁三田署は | 遺書があったかなどについては、「お答えできません」と回答した。 |
7/18(土) 17:45 |
週刊新潮WEB取材班 | 警視庁関係者によると | 「18日午後、東京・港区のマンションの1室で、クローゼットの取っ手にヒモのようなものを結び、そこに首を引っかけた状態で亡くなっていたそうです。仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見。部屋の中からは遺書のようなものも見つかっていると聞いています」 |
7/18(土) 18:30 | デイリースポーツ | 不明 | 遺書とみられるものがあったと伝えられている。 |
7/18(土) 18:47 | ANNニュース | 関係者によると、 | 現場からは遺書も見つかっていて状況などから自殺を図ったとみられている。 |
7/18(土) 19:34 | デイリースポーツ | 自宅からは遺書のようなものが見つかったと報じられているが、所属事務所は同日夜、「詳細に関しましては、現在確認中」(公式サイト)と説明した。 | |
7/18(土) 19:39 | 中日スポーツ | 捜査関係者によると、 | 室内から遺書とみられるものが見つかっており、警視庁が慎重に内容を確認している。 |
7/19(日) 5:00 | デイリースポーツ | 捜査関係者によると、 | 室内からは遺書のようなものが見つかったといい、警視庁は自殺を図ったものとみて調べている。 |
デイリースポーツ | フジテレビは | 同日、自宅から見つかった手帳に「死にたい」などと書かれていたと報じた。 | |
7/19(日) 12:48 | 文春オンライン | 捜査関係者によると、 | 「自宅からは『死にたい』と書かれた日記が見つかっている。自殺とみて捜査を進めている」という。 |
9月4日 | アミューズ | 警察の現場検証の結果、本人が日頃から役作りなど様々な思いを綴ったノートは自宅から発見されましたが、遺書はありませんでした。 そのノートにも、自死の動機や原因と直接結びつくような内容はなく、また、ファンの皆さま、スタッフ、アーティスト仲間などへ遺した文章や、遺書なども結果として見つかっておりません。 |
18日は全社が「遺書( のようなもの )」と報道した。それが19日の文春オンラインのニュース以降、「日記」「ノート」あるいは「手帳」に置き変わる。これは自殺を判断する材料の変化を示している。
文春オンラインの記事が、「死にたい」と書いてあったと強調するのは、「遺書」から「日記」(フジテレビは「手帳」)に変更してもなお、 「日記」 に自殺を匂わせる遺書機能を残すためであるように見える。
警察と文春が日記を遺書とみなした日
19日に 「日記」あるいは「ノート」 へと変更されたオリジナル記事は、次に示す文春オンラインの記事のようだ。
三浦さんは東京・港区にある自宅のクローゼットで首を吊った状態で見つかり、その後、搬送先の病院で死亡が確認された。捜査関係者によると、「自宅からは『死にたい』と書かれた日記が見つかっている。自殺とみて捜査を進めている」という。
文春オンライン2020年7月19日 三浦春馬さんは日記に「死にたい」と捜査関係者 堀越学園同級生保護者は「自殺するような子じゃなかった」より抜粋
「捜査関係者」が記事のネタ元であることが明記されていることから、この時点で、警視庁の捜査官は、日記を自殺の判断根拠としたことになる。
その後、週刊文春は日記を基に自殺を刷り込むかのような記事を書き、他殺疑惑がある程度おさまった段階で、アミューズが「遺書はなかった」と発表した、というストーリーが浮かんでくる。
警察の現場検証の結果、本人が日頃から役作りなど様々な思いを綴ったノートは自宅から発見されましたが、遺書はありませんでした。
Amuse > 三浦春馬に関するお知らせ > 四十九日発表より抜粋
警察とアミューズが自殺偽装に関与した可能性
引き続き、2年前の回想である「僕の人間性を全否定」が埋もれた役作りノート(日記)を、少なくとも警察が『遺書( のようなもの )』として認定することはあり得ないという筆者の推測を前提に、この節を展開します。
アミューズが自殺偽装に関与した可能性
”遺書の体裁” からかけ離れた日記を、警察が「遺書( のようなもの )」として認定するはずがないとしたら、警察は別のものを 「遺書( のようなもの )」 として認定したことになる。それは、6年前に筆者の知人が殺害されたときと同様に、直筆で書くことを強制された遺書だったのではないかと推測します。
直筆で書くことを強制された遺書が存在した可能性
三浦春馬氏の死亡報道の翌日に書いた「三浦春馬氏は自殺か他殺か」に記した通り、自殺に見せかけて殺害する犯人は、 ”遺書の体裁” に気を配るものです。脅して短時間に書かせるのだから、大した文章にはなりません。 ”遺書の体裁” とは、まず直筆であること、それから 「先立つ不孝をお許しください」に始まる自殺の宣言があることの二つです。それさえあれば、 ”遺書の体裁” は整います。
一方、殺人事件の認知数を減らしたい警察官は、 ”遺書の体裁” さえ整っていれば、それ以上の詮索をしません。 そして、 直筆で書くことを強制された遺書を見た警察官は「首吊り+遺書=(推定)自殺」と、いつもの安易な処理をしたのかもしれない。
「日記」に遺書機能を持たせるための刷り込みか
おそらく、自殺偽装の関与者は、直筆で書くことを強制された遺書の出来が悪いことから、母親に渡された後の評価に耐えられないと判断したのだろう。そして、 日記を遺書として扱うよう方針を転換し、「日記」 に自殺を示す役割をさせるための刷り込みが行われたのではないだろうか。
- STEP1 刷り込みの開始
- 死亡報道の翌日の7月19日(警察と文春が日記を遺書とみなした日)、文春オンラインは、捜査関係者の情報を元に、「『死にたい』と書かれた日記が見つかって~」をタイトルに冠した記事を書いた。文春以外の報道機関も、文春の記事を2次利用し、同様の報道を行った。
- STEP2 刷り込みをブースト
- その後、週刊文春は、役作りノート(日記)を遺書とするには甚だしく無理があるにもかかわらず、それが遺書であることを断定的に強調した記事を掲載した。その記事は、前掲のとおり、希薄な根拠で自殺を刷り込むかのような技法で構成されている。
- STEP3 刷り込みの役目終了か
- そしてアミューズは、四十九日報道で「遺書はなかった」と訂正した。その間、アミューズの関与を疑う声が噴出していたものの、アミューズが状況を説明することはなかった。ひと月半以上が経過した後での発表は、まるで、ファンの情動が落ち着くころ合いを見計らっていたかのようだ。
警察官が遺書あるいは日記を発見するプロセスに対する疑惑
もし直筆で書くことを強制された遺書があったなら、目立つ場所に置かれたはずだ。その場合、アミューズが手を貸さなくても、警察官はそれを発見できる。しかし、アミューズの四十九日発表は、「役作りノート」が発見されたとしており、直筆で書くことを強制された遺書の存在を示すものはない。
警察の現場検証の結果、本人が日頃から役作りなど様々な思いを綴ったノートは自宅から発見されましたが、遺書はありませんでした。
そのノートにも、自死の動機や原因と直接結びつくような内容はなく、また、ファンの皆様、スタッフ、アーティスト仲間などへ遺した文章や、遺書なども結果として見つかっておりません。
Amuse > 三浦春馬に関するお知らせ > 四十九日発表より抜粋
このように、アミューズは、ノートが発見される過程に関与していないかのような表現を使っている。それが事実なら、 警察官は、室内を捜索し、日記を発見し、それを読み進めて 「遺書(のようなもの )」 として認定したことになる。
しかしそれは、 日記が”遺書の体裁” を備えていないことに追加して、実務的にも時間的にも現実的ではないのである。
そして、アミューズが警察に電話した時間さえ明らかにしないのは、時間的な矛盾が発覚することを恐れているからではないかと感じられてならない。それは「約束の時間」が公表されないことと併せて、アミューズが自殺偽装に関与していることを疑わせるものである。
警察が自殺偽装に関与した可能性
竹内結子らの不自然死が事件にならない理由 > 死因究明制度の構造的な欠陥に示したとおり、犯罪死見逃しは、警察の初動捜査の問題によって発生していることを、多くの法医学者らが指摘した。法医学者らは科学的な死因究明を求め、犯罪死の見逃しを防止するために解剖を推進する法律も制定された。そして、理念法となる死因究明等推進基本法は、2020(R2)年4月1日から施行された。また、死因究明等推進計画に基づいて開催される検討会の記念すべき第1回目は、三浦春馬氏の死亡から2週後の7月31日に開かれた。第2回目は、芦名星氏の死亡が報道される3日前の9月11日に開かれた。つまり、三浦春馬氏に始まる芸能人連続不審死は、犯罪死見逃しの防止という国策が進展するさなかの事案だったのである。
法医学者らと国が死因究明制度を整備する一方、警察庁は、法医学者らの対案することとは別の独自の施策を持ち出した。医師に頼らず、警察官が科学的に死因究明ができることをアピールし、それを実行したのである。それが検視官である。
警察は 検視官の有効性を自画自賛している。しかし、三浦春馬氏のケースで露呈したのは、検視官が何をしたのかが、いっさい明らかとされないことだ。つまり、検視官が有効なのかどうかを第三者が評価することはできないのである。
三浦春馬氏の死亡速報においては、3点セット「(自宅クローゼットで)首つり」「遺書(のようなもの)」「自殺か」が繰り返し報道された。そして、「捜査関係者」または「警視庁」からの情報であることが明記された記事は、とうぜん警察官からの情報をネタ元とした記事である。
配信日時 | 作成者 | 記事の主語 | 午前中の状況に関する報道内容 |
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7/18(土) 15:04 |
日テレニュース24 | 関係者によりますと、 | 18日午後1時頃、東京・港区の自宅で、俳優の三浦春馬さんが、首をつっているのが見つかり、搬送先の病院で、死亡が確認されました。自殺とみられています。 三浦さんは18日、仕事の予定でしたが、仕事場に現れず、関係者が自宅を訪れたところ、死亡しているのを発見したということです。 |
7/18(土) 15:37 |
NHK | 捜査関係者によりますと、 | 18日午後、東京・港区のマンションの1室で俳優の三浦春馬さん(30)が、首をつった状態で見つかり、搬送先の病院で死亡したということです。 三浦さんが仕事に来なかったことから、部屋に迎えに行った所属事務所のマネージャーが発見し、110番通報したということです。 |
7/18(土) 15:54 |
デイリースポーツ | 関係者への取材 | 三浦さんは17日までドラマ「おカネ-」の撮影に参加。この日朝から連絡がつかなくなっており、行方不明状態だった。このため、18日の撮影は中止となっていた |
7/18(土) 17:45 |
週刊新潮WEB取材班 | 警視庁関係者によると | 「18日午後、東京・港区のマンションの1室で、クローゼットの取っ手にヒモのようなものを結び、そこに首を引っかけた状態で亡くなっていたそうです。仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見。部屋の中からは遺書のようなものも見つかっていると聞いています」 |
7/18(土) 18:30 | デイリースポーツ | 不明 | 18日もロケの予定だったが、朝から連絡がつかず、スタッフらが心配していた。ロケは中止となっていた。 |
7/18(土) 18:47 | ANNニュース | 関係者によると、 | 三浦春馬さんは午後0時半ごろ、港区の自宅マンションで首を吊った状態で見つかった。三浦さんは意識不明のまま病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。現場からは遺書も見つかっていて状況などから自殺を図ったとみられている。 |
7/18(土) 19:34 | デイリースポーツ | 関係者への取材によると、 | 三浦さんは17日までドラマ「おカネ-」の撮影に参加。18日朝から連絡がつかなくなっており、18日のロケは急きょ中止となっていた。 |
7/18(土) 19:39 | 中日スポーツ | 捜査関係者によると、 | 三浦さんが仕事に来なかったためマネジャーが自宅を訪ね、クローゼットの中で首をつっている三浦さんを発見。室内から遺書とみられるものが見つかっており、警視庁が慎重に内容を確認している。 |
7/19(日) 5:00 | デイリースポーツ | 不明 | 三浦さんは18日朝から都内で撮影に参加予定だったが、現場に現れず、不審に思ったマネジャーが港区内の自宅マンションを訪れたという。 |
デイリースポーツ | 不明 | 三浦さんは18日朝から都内で撮影に参加予定だったが、現場に現れず、不審に思ったマネジャーが港区内の自宅マンションを訪れたという。 | |
7/19(日) 12:48 | 文春オンライン | 捜査関係者によると、 | (午前中の状況の記述はない) |
9月4日 | アミューズ | 午後から予定されていた仕事に向かうため、約束の時間に担当マネージャーが自宅へ迎えに行きましたが、メール・電話等に返事がなかったので、部屋へ向かいました。インターフォンを鳴らしましたが応答がなかったため、管理会社の方に連絡し、部屋の鍵を開けていただき入室したところ、すでに意識のない状態でした。応急手当をするとともに、すぐに警察と救急に連絡を入れ、病院に搬送されましたが、懸命な救命処置も及ばず14時10分に永眠いたしました。 |
配信日時 | 作成者 | 記事の主語 | 遺書の有無に関する報道内容 |
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7/18(土) 15:04 |
日テレニュース24 | 遺書の有無には触れていないが、タイトルは「速報:俳優の三浦春馬さんが死亡 自殺か」 | |
7/18(土) 15:37 |
NHK | 捜査関係者によりますと、 | 室内からは遺書のようなものが見つかっているということで、警視庁は現場の状況などから自殺を図ったものとみて詳しい状況を調べています。 |
7/18(土) 15:54 |
デイリースポーツ | 警視庁三田署は | 遺書があったかなどについては、「お答えできません」と回答した。 |
7/18(土) 17:45 |
週刊新潮WEB取材班 | 警視庁関係者によると | 「18日午後、東京・港区のマンションの1室で、クローゼットの取っ手にヒモのようなものを結び、そこに首を引っかけた状態で亡くなっていたそうです。仕事現場に現れず、連絡が取れないことを不審に思った三浦さんのマネージャーが部屋を訪れて発見。部屋の中からは遺書のようなものも見つかっていると聞いています」 |
7/18(土) 18:30 | デイリースポーツ | 不明 | 遺書とみられるものがあったと伝えられている。 |
7/18(土) 18:47 | ANNニュース | 関係者によると、 | 現場からは遺書も見つかっていて状況などから自殺を図ったとみられている。 |
7/18(土) 19:34 | デイリースポーツ | 自宅からは遺書のようなものが見つかったと報じられているが、所属事務所は同日夜、「詳細に関しましては、現在確認中」(公式サイト)と説明した。 | |
7/18(土) 19:39 | 中日スポーツ | 捜査関係者によると、 | 室内から遺書とみられるものが見つかっており、警視庁が慎重に内容を確認している。 |
7/19(日) 5:00 | デイリースポーツ | 捜査関係者によると、 | 室内からは遺書のようなものが見つかったといい、警視庁は自殺を図ったものとみて調べている。 |
デイリースポーツ | フジテレビは | 同日、自宅から見つかった手帳に「死にたい」などと書かれていたと報じた。 | |
7/19(日) 12:48 | 文春オンライン | 捜査関係者によると、 | 「自宅からは『死にたい』と書かれた日記が見つかっている。自殺とみて捜査を進めている」という。 |
9月4日 | アミューズ | 警察の現場検証の結果、本人が日頃から役作りなど様々な思いを綴ったノートは自宅から発見されましたが、遺書はありませんでした。 そのノートにも、自死の動機や原因と直接結びつくような内容はなく、また、ファンの皆さま、スタッフ、アーティスト仲間などへ遺した文章や、遺書なども結果として見つかっておりません。 |
7/18(土)15:54のデイリースポーツの記事において、三田署は「(遺書について)お答えできません」と回答している。一方、捜査関係者、警視庁関係者をネタ元とする記事では、遺書の存在が報道されている。これらは、警視庁本部からの応援に来た捜査官がリークした可能性を示唆している。
自殺を決め付けた速報に漂う違和感
報道された「首吊り」「遺書」「自殺か」の3点セットのうち、ふたつの断定「首吊り」「遺書」があるから、推定「自殺か」が添えられことに疑う余地はない。裏を返すと、「自殺か」を報道させるために 「首吊り」「遺書」 がリークされた可能性も否定できない。
ところで、警察をネタ元とする記事は、最後に警察が捜査をしていることで締めくくるのがセオリーだ。
- 誰が見ても原因が明らかな交通事故さえ「警察は〇〇が原因とみて調べています」
- 複数の刺し傷で死んでいても「警察は事件と自殺の両面で調べています」
一方、三浦春馬氏の死亡速報は、ほかのニュースとは明らかに違っていた。
「警察は〇〇とみて調べています」や「警察は□△×の可能性があるとみて調べています。」ではなく、「警察は自殺とみている」と断定的に報道されたのである。それもすべての報道が、一糸乱れず、 「首吊り」「遺書(のようなもの)」を材料に、自殺を決め付けるかのような報道をした。「自殺か」と「か」の挿入で断定は避けているものの、自殺以外の可能性には触れるメディアはなかった。
リークしたのは警視庁本部の幹部警察官か
類のない決め付け報道を、均一、かつ、メディア各社が一斉に行ったことが示すのは、マスメディアを仕切ることのできる警察有力者の存在である。
隠ぺいを基本とする日本の刑事司法/蛇口としての報道
それは、記者クラブに出入りする機会の多い警視庁本部の幹部警察官が関わっていることが予想できる。三田警察署の刑事課長や警察署長レベルの仕業ではない。前出デイリースポーツの報道で、三田署が 「お答えできません」 と否定したことも、それを補完している。
警察の根幹を揺るがす不祥事となる可能性
検視前どころか、事情聴取と現場検証さえ書類にまとまらない時間帯に、捜査関係者(おそらく警視庁本部の幹部警察官)が「首吊り」「遺書(のようなもの)」「警察は自殺とみている」とメディアにリークしたのなら、犯罪死の見逃し防止の意識など微塵もない所業である。それは、法医学者らが中心となり、10年以上の歳月をかけて死因究明制度の推進に費やされた労力を、根こそぎひっくり返すほどの暴挙だと言わざるを得ない。
また、警察責務(警察法2条)を放棄し、死者の尊厳さえ冒涜するものである。
さらに言えば、マスメディアを使った、警察の都合による情報操作でもあり、桶川ストーカー殺人事件や栃木リンチ殺人事件と同様、警察の存在価値を揺るがす不祥事になり得る事案だ。
それほど、三浦春馬氏を自殺として報道させたい『特別な理由』が、情報リークに関与した警察官らにあったのだろう。
もちろん、情報リークに関与した警察官らは、有名人の衝撃的な死亡が、どれほど大きく報道されるかを予想したはずだ。大きく報道されることを承知でなされたリークは、警察が組織的に関わって為されたと予想すべきだろう。
民主主義を排除する警察組織
ここからは、 警察組織が捜査の責務を反故にして 三浦春馬氏を自殺として報道させたい 『特別な理由』を、警察組織の構造的な問題から推察する。
1999-2000年の相次ぐ警察不祥事によって、警察刷新会議は「警察刷新に関する緊急提言」を提出した。その後、公安委員会の活性化を含む提言は、徐々に実行に移されることとなる。
緊急提言からわずか2年後の2002年、センセーショナルな不祥事が発覚する。北海道警察生活安全課の捜査官が、職務上の立場を悪用し、麻薬の密売ほか、数々の犯罪に手を染めていたことが明らかとなったのである。この事件は、綾野剛氏の主演で映画化された。そのタイトルは「日本で一番悪い奴ら」。
2003年には、北海道警察で組織的な裏金隠しが発覚し、その疑惑は全国に飛び火した。愛媛県警の仙波敏郎氏(当時巡査部長)は、県警の組織ぐるみで領収書の偽造をしてたことなどを告発した。また、組織ぐるみの犯罪行為に手を貸さないと昇進できない県警の実態を、生々しく暴露した。
しかし、警察改革を求める世論は、数年で薄れ、やがて風化した。警察刷新会議の提案のうち、組織中枢の問題に触れた「公安委員会の活性化」は、骨抜きとされた。その結果、行われているのは、あしらうだけの相談窓口と末端の警察署で行われる警察署協議会である。あしらうだけの相談窓口の実態は、「三浦春馬氏の遺憾 > 検視はどのように行われたか」の動画を確認してほしい。
そして現在の警察組織は、不祥事が多発していた頃と同じガバナンスで運営されている。
公安委員会で民主主義を排除し、官僚が地方自治を牛耳って運営されるピラミッド型の巨大組織が日本の警察組織である。軍隊ばりの厳格な階級制度で内部統制が行われ、ほとんどの警察官が生涯を一警察官として終える覚悟で働いている。それらを統制する権限は、ピラミッドの頂点にいる警察庁長官に集約されている。
ところで「鉄のピラミッド」とも称される警察組織においては、多くの警察官が職場内で拳銃自殺を遂げている。その数、2021年9月時点ですでに3人、多い年には5人もの警察官が拳銃で自殺している。
尋常ならざる事態が、警察組織内で起こっているのではないだろうか。
民間企業に再就職した警察官僚
退官直後、あるいは退官から一定期間のいわゆる「天下り」の問題にここでは触れない。ここで取り上げるのは、高級官僚が営利企業に再就職した後の古巣への働きかけの問題だ。
ほかの省庁と同様、警察官僚の多くも民間企業に再就職している。警察庁長官や警視総監など、最重要ポストを務めた後に退職する警察官僚は、退職してもなお、一定の影響力を持ち得る。それどころか、後述する通り、直接的な働きかけさえ可能だ。
アミューズでは、元警察庁長官の安藤隆春氏が社外取締役を務めている。もちろん、三浦春馬氏の死亡報道において、安藤氏が関与した証拠は何も存在しない。しかしながら、 捜査関係者をネタ元とする類のない決め付け報道は、既述のとおり、それを仕切る警察官僚の存在を推測させるものだ。そして、安藤氏がアミューズの社外取締役であることは、アミューズと警察の関係を示す揺るぎない事実である。
古巣への働きかけは法律で禁止されていない
国家公務員は、退官後の2年間、一定条件における古巣への働きかけが禁止されている(国家公務員法106条の4)。しかしながら、条文は、2年経過後の働きかけを禁止していない。禁止条文を裏返すと「(民間企業に再就職した公務員は、古巣に対し、)職務上の行為をするように、又はしないように、又は依頼することができる」となる。
再就職を受け入れる民間企業側からすれば、ほとんど会社に来ない社外取締役に高額な報酬を支払う理由のひとつに、古巣への働きかけを期待するのは当然のことだろう。
この記事を読んだすべての方へ
ひとつ前の記事では、英米の死因究明制度と刑事司法制度を比較し、日本の閉鎖性を指摘しました。この記事では、法医学的(科学的)な話しを排除し、科学と捜査なしで判断できることで構成しました。科学と捜査なしで判断できることとは、本当に自殺だったのか、どうかという点だ。
この記事で強調しているのは、死亡現場に立ち入った捜査官の見た「遺書」は、週刊文春が報道したものなのか、それとも別のものだったのかについて、警察は答える義務があるということだ。アミューズの沈黙はさておき、警察は、わかりやすい自殺の象徴である遺書の存在をメディアにリークし、「自殺か」と報道させた責があるのだから、当然であろう。
「江戸時代の検死」にさえ劣る現在の死因究明
警察がそんなことさえ明らかにせず、捜査を求める声に沈黙し、三浦氏を自殺で終わらせるのであれば、千葉大学の石原が指摘した「江戸時代の検死」以下と言わざるを得ない。
前項で近代日本の検死制度を概観したが,司法解剖については全国の医学部の法医学教室が機能し,ようやく行われてきたものの,それ以外の制度についてはきちんとした死因究明が行われるに至らず,極論すれば江戸時代の検死が警察官によって続けられていたと言ってよい。
法医学と検死の歴史
なお、この記事で告発しているのは、「自殺偽装殺人」ではなく、「自殺偽装」だ。「 (自殺偽装)殺人 」を示す証拠はないが、「自殺」か、それとも「自殺偽装」だったかなら、既にある情報で判別が可能だからである。
ただし、 死亡現場に立ち入った捜査官が見たこと、あるいは録取したことは、「殺人」の疑いの有無を示しているはずだ。警察の組織構造から生じる圧力によって、それが表に出ないのだろう。
三浦春馬氏のケースを通じて、警察が民主的な批判の声に耳を傾けるようになることを望みたい。
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コメントポリシー(最終更新:2021年10月9日午後)
この記事で、私が告発の対象としているのは、警視庁です。アミューズではありません。紙の告発状を提出するかどうかまだ決めていませんが、たぶん出さないと思います。
仮にWEB上の公開告発のみであったとしても、私は訴訟リスクを負います。刑事上の信用棄損や、それを不法行為とした民事賠償で訴えられることを想定しなければなりません。
それゆえ、この記事のコメント欄においては、以下のルールを順守ねがいます。
毎回、著者さまの客観的な分析と論理的な構成は胸のすく思いがします。
ありがとうございます。
三浦さんの件は一部の感情的ファンの憶測コメントをアミューズが都合よく利用し、疑惑の本質的問題からはぐらかされてしまいます。
大多数のファンの正当な疑問は、ひとまとめに陰謀論、名誉毀損、などと吐き捨てられている現状で、とても悔しく思います。
事務所はともかく、警察までが公正や正義を失うなら日本に失望しかありません。
なんとかこの状況を切り開くことは出来ないものでしょうか。
警察組織が憎いです。
これからも記事を楽しみにしています。
どうか安全に、無理はされませんよう。
三浦氏に関する記事は、これが最後です。自分の生活を考えると、もっとずっと前に終わりにしなければなりませんでした。
「どうやったら状況を変えられるか」について、ひとつ前の記事のコメント欄に書いたことを編集してお答えします。
自殺報道に納得しないファンの方々が、疑問や不満と併せて、三浦氏への純粋な想いを綴りたくなるのは、心情として当然だと思います。しかしながら、疑問や不満と故人への想いを発することによって、何らかの効果を期待するのであれば、自分たちの声がファン以外の方々にどう映るか、を考えた方がよいと思います。
ひとつ例を挙げます。
殺人事件の被害者遺族は、犯人が明らかになっても、犯人からの補償は望めません。
一方、交通事故の被害者遺族は、加害者の自動車保険による補償をあてにできます。そして、示談でなく、民事裁判で補償額が争われる場合、例外なく「同じような被害者を出さないため」という大義が、裁判に訴える理由として、前面に出されるものです。
大義が持ち出されるのは、感情的になりがちな被害者遺族ではなく、冷静な弁護士の戦略によるものです。被害者遺族が被害者に対する想いや、加害者に対する処罰感情をあらわにしてに訴えても、裁判官や世論は、被害者遺族と同じ温度にはなりません。
この例で私が示したいのは、「一ファンとして真実が知りたい」という『個人の利益(好奇心の充足・弔い)』ではなく、「同じような不幸を減らしたい」という『社会の利益』に矛先を向けることをしなければ、三浦春馬ファン以外の共感を得るのは困難だということです。
それから、アミューズに対する強く求める表現は控えた方がよいと思います。警察に被疑者として逮捕された後であっても、黙秘権が保証されています。匿名の一般人が公然と自白を強要しているように見えてしまうことは、好ましくありません。それが三浦春馬ファンの集合体がしていることと見なされるなら、ファン全体の品格が疑われます。
この国が法治国家であるなら、私たちが求めるべきは警察の捜査です。捜査権のない一般人がいくら頑張っても、犯人に制裁を下すことはできません。逆に警察がまともに捜査をするなら、死亡報道のあった日に警察官が見たこと録取したことだけで白/黒がはっきりするはず。
なお、私が『告発』という言葉を使ったのは、告訴告発の制度がまともに機能していないからです。ただし、私は自分の『告発』やその他記事に短期的な効果を期待していません。徐々にメディアリテラシーが育まれ、何年か、何十年か後に、タテマエばかりの民主主義が本質的なものに変革されることを期待しています。
ところで、三浦春馬ファンの方々のみならず、「自殺か」との決め付け報道に疑問を感じ、何かのアクションを起こした方々は、警察・報道・アミューズの黙殺に限界を感じる一方、「戦わない奴らの笑い(や批判)」に気が付いたはず。それは次の画像で「事件にかかわることのない大多数」として描かれています。
警察(権力)がメディアを利用して、「事件にかかわることのない大多数」あるいは「大衆(戦わない奴ら)」を操作する構図となっています。これは反戦を唱える人たちが「非国民」として隣組から攻撃された戦時中と同じです。それを可能にしているのが、警察の閉鎖性と蛇口としての記者クラブです。
このように「戦わない奴ら」が「戦う奴ら」を潰してくれるから、警察自ら対応する必要がなくなります。そして、警察批判は、常に黙殺されることとなります。
私が三浦春馬氏に関する記事を重ねてきた原動力は、身近な知人が自殺偽装殺人の犠牲となった事件にあります。記事を書いても、彼が生き返ることはありません。でも、警察がまともな捜査をしていて、偽装殺人が抑止されていたなら、彼は殺されずに済んだかもしれません。同様に、警察が行方不明者を探す努力をしていたなら、横田めぐみさんらは北朝鮮に拉致されずに済んだかもしれません。
「どうやったら状況を変えられるか」に戻って続けます。私は、個人の好奇心が見え透いた「真相」という言葉を振りかざすのではなく、「未来の不幸を減らすために、ちゃんと捜査して欲しい」と訴えた方がよいと思います。ただし、それ以外のやり方を否定する気は毛頭もありません。
ちなみに「三浦春馬の死が万人の生に繋がる可能性」という記事タイトルは、現在の問題を未来の社会的利益に繋げるために、法医学の理念を示す言葉から流用しました。
警視庁への告発、素晴らしいです
私は警視庁と警察庁に対して 9月27日に40人で抗議をしました。11月、1月、3月の奇数月の27日に抗議で取り囲みます。
100人200人300人と 参加人数は増えると思います。
告発と 抗議活動と 動画の拡散により
数100万人単位で この変死事件がおかしな事を
広めれば再捜査をさせる事が出来ると考えております。頑張ります。
twitter上のデモ記録も拝見しています。1年も経って、田中様のような行動派が現れるとは思いませんでした。志を共にする立場なのですが、ひとつだけ指摘させてください。
私は、不動産管理の経験が多少あります。そのうえで「合鍵で不法侵入」という指摘は、妥当でないように感じます。
賃貸契約書や管理委託契約書には、「緊急の必要がある場合においては、あらかじめ乙(賃借人)の承諾を得ることなく、本物件内に立ち入ることができる」という緊急時の開錠条項がほぼ例外なく織り込まれています。それは火災のほか、病気で動けない入居者を救助する場合などに適用されます。
30年ほど前、私は1度だけ警察に立ち合いを頼んで開錠・入室したことがあります。それは、緊急ではなく、夜逃げが予想できる案件でした。もちろん緊急時開錠の条項はありましたが、万が一、夜逃げでなく、中で死亡していたら、管理会社にとって面倒なこととなるので、念のために、警察に立ち合いを求めた上で開錠・入室しました。警察が立ち合いを嫌がることが容易に想像できたので、自殺の可能性を強調することで、なんとか立ち合わせることができました。
アミューズの場合、「応答がないから、病気で倒れている可能性の予想できる緊急事態だったので、警察の立ち合い求める猶予なく、管理会社に鍵を開けさせた」というシナリオは、合法的で自然な口実になり得ます。
「蟻の一穴」という諺もあります。また、相手のある場合においては、不用意な一穴ばかりをつつかれて、他の論点が薄れてしまうことがままあるものです。そうした事態を防止するために、私は善かれと思って、指摘をしているつもりです。
クローゼットで首を吊って自殺とは、明らかにおかしい。三浦春馬さんは178センチの背丈。クローゼットには無理がある。明らかにされては困る事があって消す場合には首吊りが多いと何かで読んだ記憶がある。STAP細胞の事件の先輩上司も首吊りでしたよね。
> 明らかにされては困る事があって消す場合には首吊りが多いと何かで読んだ記憶がある。
無責任なコメントをしないでください。
コメントポリシーには「証拠を示し得ない表現をしないこと」と記しています。
仲間内で愚痴を言い合うだけならさておき、公の場では、やっていいことと悪いことがあります。それに証拠を示し得ないことは、それが事実であったとしても客観的事実にはなりません。
疑惑を追及する姿勢について、少し苦言を呈します。
何ら客観的証拠も示していないにもかかわらず、自分の推測は正しく、それを認めない報道や世間がおかしい、と言わんばかりの愚痴めいた安易なコメントが、三浦春馬ファンの方々には多すぎます。
ここで三浦春馬の死亡報道と類似した例として、北朝鮮拉致疑惑を挙げます。
横田めぐみさんが失踪した当初、北朝鮮による拉致の可能性は報道されませんでした。失踪から20年後、いくつかの証言によって、めぐみさんが北朝鮮に拉致された可能性が指摘されるようになりました。
その後、日本政府は拉致被害者を認定しましたが、2002年の日朝首脳会談に至るまで、北朝鮮は拉致を認めませんでした。同年に帰国できたのは、日本政府が17人と認めた拉致被害者のうち5人だけだ。
めぐみさんの両親、横田滋・横田早紀江夫妻は、奪われた家族との生活をとりもどすために健気な活動を続けました。年が過ぎ、老齢となっても、健気に訴え続けました。健気さが痛ましいほどでした。しかし、横田滋氏の願いは叶わず、失踪から42年後の2019年に死去しました。
横田めぐみさんのケースも、三浦氏のケースも、警察の怠慢が背景に存在します。
横田めぐみさんらの拉致事件については、警察が海保との縄張り意識を絶ち、連携して失踪事件を調べていたなら、何十年間も被害が続く前に阻止できたはず。拉致の疑いを警察や国が指摘していたなら、それだけで犯罪の抑止効果が得られるからだ。
三浦氏のケースで問題なのは、警察と報道のしたことが、自殺を偽装した殺人に対する抑止効果がゼロだということだ。それどころか、犯罪を目論む者に対しては、完全犯罪への安心感を与えている。遺書らしきものさえあれば、警察が事件の疑いを持って捜査をしないことが見え透いているからだ。
そして、初動段階における警察の判断ですべてが決まり、その手順が完全に秘匿されるので、第三者(報道を含む)が警察判断を客観的に評価することはできないことが露呈しました。そのことは、潜在的犯罪者にとって、自殺偽装殺人が成功する可能性を推し量る材料となります。
私は、三浦春馬氏の自殺報道に納得しないファンの方々のアクションによって、殺人天国の問題が認知されることを期待していました。しかしながら、そのアクションの一定割合に度が過ぎたものがあるなら、三浦春馬ファン以外の方々の理解を得られることはないでしょう。
生きる権利を尊重しない社会に対し、一個人にできることがどれほど無力であるか。
それでも一縷の希望を持って訴えることが、いかに絶望的な作業であるか。覚悟を持ってできないのなら、もう止めたほうがいい。
三浦春馬さんは三田警察署のある港区で亡くなられましたが、
港区というのは警視庁の第一機動捜査隊の管轄です。
当時の隊長は永井悌二というのですが、一機捜隊長は
全国で起きる事件の初動捜査へ介入できる権限があります。
自分たちの縄張りである港区ですから、間違いなく介入できます。
ですので、この事件に介入した警察官は永井悌二という事です。
もう一人、永井悌二と同じ目的で介入したであろう人間が
警察庁の則包卓嗣という男です。則包がどのような介入をした
のかは私も知りません。が、永井とは深い関係にある男です。
この事件において、他の警察官や警察OBについては
あまり疑わない方が良いと思います。十中八九誰も関与してません。