東京高裁書記官との攻防-その1-
東京高裁書記官との攻防
「弁護人は不要である。国選弁護人も拒絶する。」(控訴申立書)
「弁護人の存在によって法曹だけの裁判が行われるおそれがあるので、私は弁護人を拒絶する。」(上申書)
裁判所は被告人を軽視している、と初めての刑事裁判で感じたことから、今回の裁判では、上記の文書ほか何度も弁護人を拒絶した。当然、担当の裁判書記官である小暮書記官も知っているはずであった。
なお、「控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない。(刑訴法第388条)」と規定されており、被告人控訴趣意書でしか自分の主張をすることはできない被告人にとって、現段階は神経質にならざるを得ない時期である。
そして、小暮書記官とは、弁護人を選任する段階と被告人控訴趣意書を提出する段階で電話で何度も話していた。
- 7月17日、被告人は国選弁護人の解任を依頼する文書(ただしタイトルは上申書)を送った。
- 7月**日、東京高裁は、国選弁護人を解任しないこと被告人に通知した。
- 7月29日、東京高裁が選任した弁護人には、事前に控訴趣意書の提出期限を延ばすよう頼んでいた。しかし、弁護人は「東京高裁はそれを認めなかった」と被告人に連絡した。
- 7月30日、弁護人が休暇で連絡がとれないため、被告人は、東京高裁に電話し、弁護人とまったく打ち合わせをしていない段階で、控訴趣意書の提出期限を変更を認めないことに不満を訴えた。それに対し、小暮書記官は、決定権が裁判体にあることを前置きし、「提出できなければ棄却とされる」ことを示唆した。
- 7月31日、弁護人に電話し、裁判所が控訴趣意書の提出期限を延ばさないことに対し、少なくとも弁護人の立場から異議できない理由がないことを伝え、弁護人から裁判所に連絡させた。それ対する小暮書記官の回答は、弁護人の控訴趣意書の提出期限は2週間延ばすが、被告人控訴趣意書の延期は認めないとのことであった。
- 同日午後、被告人は、被告人控訴趣意書は期限に間に合わせるが、証拠類の期限を遅らせるよう小暮書記官に依頼した。それに対し、小暮書記官は、裁判官に確認することなく、期限を2週間延ばすことを認めた。
- 同日午後9時半頃、被告人は、ようやく整理した被告人控訴趣意書を東京高裁の夜間窓口に提出した。
- 8月12日、被告人は、小暮書記官に電話し、証拠類の提出期限を8月18日に延期するよう求めた。小暮書記官は、裁判官に確認することなく、被告人の申し出を認めた。
- 8月18日、被告人は、会社を休んで証拠類をまとめる作業を行ったが、間に合いそうにないため、さらに1日提出期限を延ばすことを求めようと東京高裁に電話した。しかし、小暮書記官は休暇中であった。
- 同日午後11時頃、被告人は、東京高裁の夜間窓口に証拠類を提出した。
- 8月19~27日、被告人は、書類が小暮書記官に届いたことや書類に不備がないかを確認するため、幾度となく、東京高裁に電話をするが、小暮書記官は休暇中とのことであった。さすがに長期休暇を察したが、ほかの書記官はいつから出勤するかを被告人に伝えようとはしなかった。
- 8月28日、被告人は、東京高裁に電話するが、小暮書記官は離席中であった。被告人は、これまでに2度、小暮書記官が二言返事で期限を調整していたことから、期限を調整する一定の権限が書記官に所在することを察していた。それゆえ、小暮書記官の調整した期限を被告人が尊重していたにも関わらず、小暮書記官が「**日まで不在であること」を被告人に伝えようとしなかったことから、せめて1度くらいは小暮書記官に被告人の都合に合わせる努力をさせるため、電話に出た書記官に対し、午後6時以降に被告人に電話をするよう、小暮書記官に伝えることを依頼した。もちろん、裁判所の受付時間外であることは知ってのことだ。
「6時以降に電話できるかどうか約束できません」とその書記官は、被告人の言葉を遮るかのように言った。被告人は「代理の書記官がそんな約束ができないことはわかっている」「メッセージを依頼しているだけだ」と伝えると、書記官はぞんざいに電話を切った。
被告人は電話をかけ直し、ぞんざいな電話の切り方を注意すると、書記官は非礼を認め、謝罪した。しかしながら、小暮書記官からの電話はなかった。
そして8月30日、被告人が東京高裁に電話すると小暮書記官に電話がつながった。
「伝言を聞いていますか?」と尋ねると、小暮書記官はのらりくらりとはぐらかした。ようやく争点に達し、「電話をいただきたいとの伝言を聞いていますか?」と質問すると、小暮書記官は、6時以降は業務時間外であることを持ち出し、電話をしなかったことを正当化した。
被告人は、これまで小暮書記官が調整した期限を尊重したこと、現段階での書類の提出が被告人にとって如何に大事な時期であるかということを伝えたうえで、「長期休暇をとるなら、一言伝えるべきではないか?」と小暮書記官に迫った。
弁護人には伝えてある ――― このように小暮書記官は言い放った。
私は耳を疑った。そして、被告人が弁護人を拒絶してきた経緯、対象の書類は弁護人を介さず被告人が自ら作成・提出したものであること、この件で被告人と小暮書記官とは何度もやり取りをしていること、当事者は被告人であって、弁護人は代理人に過ぎないことなどを小暮書記官に喚起した。その上で、「すみませんでしたのひと事があってもいいのでは?」と迫った。しかしながら、小暮書記官は、被告人の指摘に揺らぐことなく、自身の言動と対応に不備はない旨を被告人に伝えた。
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