速度規制には科学的根拠がない
流れのよい全ての道路区間の速度規制は、法定速度(道路交通法施行令第11条)の影響を受けている。法定速度は、50年前に警察庁が策定し、高速道路で時速100キロ、一般道で時速60キロ、原付バイクが時速30キロという数値は、一度も見直されていない。50年前のままだ。
戦後の高度経済成長を経て、道路環境と車両の性能は向上を続けた。近年では、エアバッグの全車両標準化を筆頭に,車両の安全性能はさらに飛躍的に向上している。
それなのに法定速度は50年前のままだ。とうぜん、現実の道路交通は、速度規制から大きく乖離し、日常的に運転するドライバーとライダーは、多くの道路区間で速度違反が常態化している様子を目の当たりにしている。
しかし、誰一人、その「本当のこと」を公然と口にすることはできない。なぜなら、「違反は危険」のプロパガンダによって、速度規制は適正で、速度違反をする車両は、交通事故をひき起こす危険因子だということにされているからだ。
「速度規制は現実離れしている」などどと言おうものなら、交通事故の被害者団体らの感情的な攻撃にさらされ、お役所の決めたことを疑うことを知らない善良な人々から批判の目を向けられる。だから、政治家、芸能人など、実名で活動する影響力のある人たちは、決して「本当のこと」を言わない。もちろん、警察と癒着する新聞やテレビが「本当のこと」に触れることはない。
建前しか報道しない既存メディアに対し、匿名で本音が言えるインターネット上においては、現実に目を向けようとしない警察への失望と批判が渦巻いている。
インターネットが既存媒体を超える影響力を持ちつつある中、警察庁は速度規制を正当化するための調査研究報告書を御用学者に書かせた。現在の速度規制の指針となっている「速度規制基準」は、その調査研究報告書「太田報告書」そのままだ。
なお、「太田報告書」は、道路交通法施行令例に規定された一般道の法定速度60km/hの維持ありきで、それを上限として減算したことをいかにも科学的な考察したかのように示したものにすぎない。つまり、結論ありきの報告である。