ドライバーの不満が世論にならない理由

ドライバーの不満が世論にならない原因として象徴的なのは、JAFが警察の天下り団体であることだ。まずは海外のドライバー団体の発生経緯と活動を確認しよう。

海外のドライバー団体

海外のドライバー団体海外では、利用者団体が利用者の利益を守るための活動を行っている。例えば、銃器の利用者団体に過ぎないNRA(全米ライフル協会)は、国家と対抗するだけの影響力を持っている。例として悪いかもしれないが、意見のまとまりやすい利用者団体が、政治的な役割を担っているのだ。エリアで選出される政治家だけが、国家のあり方を決めているわけではないのである。

自動車ユーザーの公益を代弁する利用者団体としては、ドライバー団体が存在し、クルマ関係諸税アップへの反対運動、交通規制への提言など、ドライバーの権利を擁護する活動も行われている。

これらドライバー団体の意見は、ドライバーを代表する公式発言として、政府や経済界に認められ、影響力を持っている。そして、ドライバー団体は例外なく、ロードサービスの提供で会員を組織している。

FIA(フランス)
Federation internationale de l’automobile – 1904年創立。ロードサービス、クラッシュテスト、旅行サービスの提供を行う。モータースポーツ界の頂点にある団体としても知られている。モータースポーツ界の頂点にある団体である。
AAA(アメリカ)
Foundation for Traffic Safety -ロードサービス、旅行サービスを行う。合理的な速度規制、スピードトラップの撤廃、不公正なクルマへの課税への反対、理不尽な交通法規に反対している。1947年設立。
CAA(カナダ)
Canadian Automobile Association-ロードサービスや保険業務など。AAAと提携。1913年設立
RAC(イギリス)
母体であるRoyal Automobile Clubは1897年の創立。1999年に営利企業となった。ロードサービスほか。
UTAC(ドイツ)ACI(イタリア)ANWB(オランダ)ほか多数

JAFは警察の天下り団体

日本でロードサービスといえば、誰もが最初に思いつく団体が日本自動車連盟(JAF)だろう。1994年に4月に規制が緩和されるまで、高速道路でのロードサービスはJAF1社に限定されていた。そうした環境で独占的に会員を増やしてきたJAFは、規制緩和後もロードサービスにおける圧倒的な地位を保っている。

天下りJAFは警察庁が所管する社団法人である。だから、要職ポストには、警察官僚が天下る指定席があり、典型的な警察の外郭団体である。そんな組織がドライバーの意見を代弁することはありません。

ところで、社団法人や財団法人といった公益法人のほとんどは、企業会員をベースとしている。利用者会員をベースとするJAFは、公益法人としては特異な部類に属する。

企業会員をベースとする日本の公益法人の多くは、中央省庁の旗振りによって組織される。だから、ユーザーの利益より、業界の保護と天下りばかりが優先されるのである。

生命の安全を盾にする日本医師会が、患者の不便を改善しようとせず、ひたすら会員である医者の利益を守ろうとするのは、そのベースを企業(医者)側に置いているからである。

企業会員がベースとなる公益法人に対し、ユーザー会員をベースとするJAFは、サービス提供者(警察庁や国交省)に対し、ユーザー、(ドライバーとライダー)の利益を代弁しやすい環境にある。

しかしJAFは、2004年までドライバーの声を代弁する活動を一切おこなっていない。それが、2005年から自動車関係諸税に対し意見するようになった。これは、日本自動車工業会が同様の意見を行ったため、JAFも何かせざるを得ない状況が発生したからだ。2014年10月からは、高速道路の料金に対する意見をし出した。それ以外も、JAFの矛先は、警察庁が所管する分野以外のことばかりだ。(>>JAFのアンケート

しかしながら、警察庁所管の組織であるJAFが、縦割り行政の日本で為すべきは、警察庁が主導する交通規制と取締りの問題に対する意見である。

JAFが「縦割り行政の暗黙の掟」に反して、他省庁の縄張りで意見しているのは、道路ユーザーの声を代弁する責務から逃れられなったからだろう。もちろん、縦割りの壁があるから、警察庁の外郭団体による「越権行為」に対し、国土交通省が耳を貸すことはない。つまり、JAFが自動車関係諸税や高速料金に意見しているのは、効果を求めてではなく、利用者に対する単なるディスプレイに過ぎないのである。

金権行政の本丸

ニッポンの現実1993年に日本新党が38年ぶりの政権交代を実現して以来、改革に期待する人々の期待はことごとく裏切られた。20余年が経過しても根本的な解決が実行に映される気配はなく、現在では、多くの国民があきらめモードに入っている。

行政の腐敗を抜本的に正す施策は、いつも実行に移されないか、あるいは骨抜きとされる。

なお、行政の腐敗は金権行政というひと事で表現できる。そして、金権行政の最大の土壌が公益法人である。

公益法人制度改革3法の施行により、整理は遅々として進みつつあるが、天下りの抑止や利益構造の見直しに対する改善策は存在しない。
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