公安委員会に実態はない

民主主義国家においては、規制をする側は、規制される側の意見に耳を傾ける必要がある。しかし、日本で交通規制の権限を牛耳る警察に、ドライバーとライダーの意見を聞く耳はない。

警察主権を可能にする公安委員会

図表に示したとおり、警察が実態のない公安委員会に責任を転嫁して、ドライバーとライダーの声に耳を塞いでいるからだ。ちなみに、2000年以前は、すべての警察庁とすべての都道府県警察は次のように広報していた。

「公安委員会は警察行政の民主的管理と政治的中立性の確保に大きな役割を果たしている。」

それが警察不祥事の多発後、「大きな役割を果たしている」の部分が削られた。これは警察の管理機能の見直しを余儀なくされた結果、次のことが決められたからだ。

  1. 公安委員会の警察に対する「管理」の概念を明確化し、公安委員会の活性化につなげるべきである。
  2. 公安委員会に監察指示権を付与し、公安委員会が監察に関して行った指示の処理状況を確認できるようにすべきである。
  3. 公安委員会の審議機能の充実のため、公安委員をより幅広い分野から選任するとともに、警察庁及び警察本部内に公安委員会事務担当室(課)を設置してスタッフを増強するなど真に効果的な補佐体制を確立すべきである。
  4. ※以上、平成12年警察白書第2節1の(2)のエ「公安委員会の活性化」を元に編集を加え作成。
1.「管理」の概念について、
公安委員会の「管理」については、国家公安委員会のWEBサイトに示してある。そして、地方公安委員会もこれに準じて「管理」を行うことになっている。
キーワードは「大綱方針」である。分かりやすく言えば、公安委員会は個別的な仕事はせず、大雑把な方向性を決めることと解釈してよいだろう。しかしながら、形式的な任命権はあっても人事権はなく、週1度の会議に出席するだけの名誉職の老人たちに「大綱方針」が策定できるはずがないことは明白である。
2.「監察」の実務について

公安委員会

あえて言い切るが、公安委員会の監察は、警察の監察と同じ「監察」という言葉を使うことによって、警察が主体となる監察が公安委員会によって行なわれているかのようにカモフラージュするためのものである。だから、公安委員会の監察が行なわれることはない
3.効果的な補佐体制について
警察刷新会議の最終提言から10数年が経ったが、い まだ、警察庁にも都道府県警察本部にも、公安委員会の独自スタッフはひとりも存在していない。それどころか、専用の電話回線さえ保有していない。公安委員会に電話をしても、電話に出るのは公安委員会に管理されているはずの警察官である。それゆえ、公安委員会は、独立した組織としての体を為していない、と言わざるを得ない。

警察が主導するあからさまな脱法行為

以上のとおり、国家公安委員会にも都道府県公安委員会にも、法で定められたような役割を担うだけの機能は存在しない。公安委員会制度は、いわば警察の責任転嫁システムと成り下がっている。公安委員に責任を転嫁できるから、警察官僚は、パチスロ業界のような脱法産業を成長させておきながら、そしらぬ顔で法の番人面ができるのである。

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