テレビが警察に媚びる理由

ゆがんだ報道

テレビが扱うネタには、視聴率が取れるものと取れないものがある。わかりやすい事件は視聴率がとれるが、わかりにくいニュースは視聴率がとれない。また、刺激的な事件は視聴率がとれるが、刺激の少ないニュースは視聴率がとれない。

だから、わかりやすく刺激的な事件はとても視聴率がとれる。新聞のテレビ欄と3面記事しか見ない人が多く存在することが示すように、テレビでもわかりやすく刺激的な事件ほど大衆の興味をひくことができるのである。

TVショーわかりやすく刺激的な事件の代表が交通事故である。悲惨な死亡事故があれば、被害者遺族を直撃取材し、嘆き悲しむ様子をカメラに収め、それを報道する。報道を見る者は、我が身の平穏を「幸せ」と実感する。また、「かわいそう・・・」と被害者らに同情する自分の善を感じることもできる。つまり、悲惨な交通事故を、あくまでも他人事として見ているわけだ。

悲惨な事故を、他人事でなく、自分事として消化していたら、心はもたない。

警察に利用される非運転者たち視聴者の感情に訴える報道手法は、加害者への敵意を誘起させる。そして、テレビ報道に踊らされた人たちは「もっと厳しく!」と攻撃的になり、短絡的に規制強化と罰則強化を主張する。

さらにテレビ局は、コストの安い「警察24時」といった警察ドキュメンタリーを大量に制作し、「正義の警察官」の活躍を演出する。これら公共放送の警察ドキュメンタリーは、交通安全の本質を明らかにする姿勢は微塵もなく、ひたすら警察の正義を強調するだけの露骨なプロパガンダである。

小田原厚木道路での取り締まり

小田原厚木道路は、一部車両規制のある有料の地域高規格道路である。この道路では、神奈川県警第二交通機動隊が覆面パトカーでの取り締まりを盛んに行うため、道路利用者の評判はすこぶる悪い。左の番組冒頭、「危険なスピード違反」「猛スピード」とナレーションされる車両の走行速度は、パトカーのいないときの流れと変わらない時速90キロ程度にすぎない。

 

横浜環状2号の取締りポイント

環2白バイ取締りポイント

「並外れた技術を持つ」と紹介される石川勝久隊員が取締る区間は、地元民には有名な取締りの名所である。ほぼ直線で緩やかに下る3車線区間であり、また完全に歩車分離されており横浜で最も安全に走行できる一般道である。地域高規格道路として整備されたこの道路区間の平均速度は時速80キロ程度である。

 

岡山バイパスの取締りポイント

岡山バイパスの取締りポイント

岡山バイパスも、自動車専用道路と同等の規格で設計された地域高規格道路である。潤沢な道路財源で整備される地域高規格道路は、わずかな盛り土で整備される他国のハイウェイより恵まれているが、法定速度の制約により、時速60キロ規制が基本となっている。そして、動画の増田幸司隊員は、同じ場所で繰り返し取締りをおこなう。

宮崎南バイパスの取り締まりポイント

宮崎南バイパスの取り締まりポイント

超人的腕前で白バイ日本一に輝いた磯崎聡隊員が捕まえたのは時速84キロで走行した車両。捕まったドライバーが点数と反則金にしか関心がないことを示すとおり、速度規制が現実ばなれした道路区間での取締りは、反則金目当ての取締りにしか見えない。

なお、宮崎南バイパスも地域高規格道路である。

報道統制の記事リスト

テレビが警察に媚びる理由

テレビのプロパガンダ

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新聞が警察を批判しない理由

報道統制

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反則金の行方

ラジオが15分おきに交通安全標語のようなフレーズを繰り返すのは、警察の天下り団体のJARTICから情報を仕入れているからである。 「ドライバーさん、安全運転でお願いします」 「携帯電話はクルマを止めてから」 アナウンサー […]

週刊誌が行政批判を止めた理由

民主党の失態

「母屋はお粥、離れはしゃぶしゃぶ」 2003年に当時の塩川財務大臣は、政治の影響が及びにくい特別会計で、役人が無駄使いをしているとわかりやすく批判した。 2009年ころまでは、政治家だけでなく、週刊誌のなかには、役人の無 […]