自殺を決め付けた報道がなされる理由

2020年の夏から秋にかけて、竹内結子、芦名星、三浦春馬ら芸能人らが、自宅クロゼットで首を吊って自殺したと報道された。しかし、共演歴のある俳優3人ともが、同時期に同様の手法で死亡したことについて、犯罪性を感じない方がおかしい。まるで同一犯がシグナルを残したかのようだ。しかも、3人とも自殺に至る動機もあいまいで、芦名星氏と竹内結子氏においては、当初より遺書もない。

三浦春馬芦名星竹内結子神田沙也加渡辺裕之上島竜兵
病院で死亡が確認されたわずか54分後の速報で、首つりによる自殺であると報道された。各テレビ局は、競うように、センセーショナルなテロップ入りで何度も繰り返し報道した。 自殺を断定する報道は、多くの人に違和感を感じさせた。また、異例の早期密葬が証拠隠滅を疑わせたことや、所属事務所の証言が変遷したなどが、自殺報道への不審感を募らせた。
自宅で首を吊った状態で死亡しているところを、訪問した親族が発見した。ただし、芦名星氏以降、メディアは死亡時の情況の次第に伏せるようになった
自宅クローゼットの中で首をつった状態でぐったりしているところを、夫で俳優の中林大樹氏が発見し、搬送先の病院で死亡した。やはり、自殺を決め付けた報道が行われた。
転落死と速報され、後に北海道警察は、司法解剖の結果から事件性を完全に排除した、突き落としも飛び降り自殺も外因としては同じ結果となるが、道警はその説明をせずに事件性を排除した。また道警は、15cmしか開かない窓からどうやって転落したのかの説明もしていない。
所属事務所によれば、「5月3日(火)昼頃、渡辺裕之さんが自宅にて縊死されました。」とのこと。『縊死』とは、窒息死のこと。渡辺氏の報道では「捜査関係者によれば~」で始まる警察リークによる報道がゼロとなった。報道は、模倣自殺防止を唱えるばかりで、犯罪死の見逃し防止のための措置を警察がしたか否かに触れていない。なお、最初の報道は、事務所のwebサイトでの発表をネタ元とする記事で、死亡から2日後であった。
テレ朝ニュースによれば、上島さんは昨日10日深夜、家族からの通報で、都内の自宅から救急搬送されたが、11日午前1時前、搬送先の病院で死亡が確認された(東京消防庁)。上島さんの死亡について、事件性はない(警視庁)。渡辺裕之氏のケースほどではないが、警視庁がリークした情報をネタ元とした記事はほとんどない。

さらに、2021年には神田沙也加の転落死、2022年には渡辺裕之と上島竜兵の縊死が報じられた。
しかし警察は、いずれのケースにおいても、速報段階で「事件性はない」とマスメディアに情報をリークしながら、判断根拠を明らかにはしなかった。渡辺氏のケースにおいては一切の情報を提供しなかった。そして、警察が提供する枠内の情報で報道を行うマスメディアは、芸能人らの死亡報道で、他殺の可能性を排除した。

素人目においても他殺が疑われるにもかかわらず、警察がまともな捜査をしないことが問題の根源なのは明らかだ。そして、警察の怠慢を追及しないマスメディアが、他殺疑惑に蓋をしている。

なお、警察がまともな捜査をしない根拠は、警察が犯罪があると思料(刑訴法189条2)しなかったからだ。刑訴法に思料の方法は定義されていない。つまり、警察官が「事件性はない」と思っただけで、犯罪性が排除され、自殺の決め付け報道が為されるのである。そして、この刑訴法189条2の規定が、警察が『法医学者の指摘する江戸時代の検死』を続け、恣意的な判断をする根拠である。

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人権を尊重しない国 – 神田沙也加ら芸能人の不審死を警察が捜査しない理由

「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、最大の尊重を必要とする。」 日本国憲法第13条を抜粋した。これは『基本的人権』の中核を成している。 「すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。」 こ […]

神田沙也加さんの自殺報道に漂う他殺の可能性

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三浦春馬氏の自殺偽装に文春と警察とアミューズが関与した可能性

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三浦春馬氏の他殺疑惑と透明性ゼロの刑事司法

計画殺人の犯人は、自殺や事故を偽装したり、死体を隠すことによって、捕まるリスクを低下させるものである。そうした犯罪隠しを見落とさないために、アメリカの検死局は、偽装殺人の可能性のある遺体すべてを解剖し、報告書を作成している。マイケル・ジャクソン氏に為された死因究明の作業を、三浦春馬氏のケースと比較することによって、日本の刑事司法制度の根本的な問題を考えたい。

縦割りの壁がもたらす政府の茶番劇

前の記事、竹内結子らの不自然死が事件にならない理由では、三浦春馬に始まった芸能人らの連続不審死が、政府の死因究明等推進本部による死因究明等推進計画検討会と同時進行形であったことを示した。 死因究明等推進本部とは 令和2年 […]

竹内結子らの不自然死が事件にならない理由

竹内結子ら有名人が、自宅クロゼットで首吊り自殺を図ったことは、まるで同一犯がシグナルを残すために敢えて選択した他殺を疑わせる。しかも、3人とも自殺に至る動機もあいまいで、竹内裕子と芦名星は当初から遺書もない。この記事では、真相究明を阻害する要因の考察した。

三浦春馬氏の不自然死と報道の闇

この記事では、三浦春馬氏の自殺報道を整理し、証拠を評価し、ささやかな推理を加えることにした。なお、この手順に、推理の裏付け捜査を加えれば、警察の捜査手順と同じだ。つまりこの記事は、告発への繋ぎとして機能するように作成しました。取材源を明確にしながら不自然な自殺報道の評価することによって、警察官の情報漏洩と警察発表を垂れ流すメディアの問題を追及したい。